2019年5月29日、職場におけるパワーハラスメント(以下、パワハラといいます。)防止措置を企業に義務付ける「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律」が成立しました。
大企業については公布日から1年以内、中小企業については3年以内に施行されます。
パワハラに関しては、「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」(以下、労働施策総合推進法といいます。)において、主に次の3点が定められました。
(1)定義
(2)防止措置
(3)相談したことや相談に協力したことに対する解雇その他不利益な取り扱いの禁止
定義については、「職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの」と定められていますが、防止措置については、別途指針を定めるとされており、具体的なパワハラ防止措置については明らかになっていません。
しかしながら、パワハラに関するこれまでの各種報告(※)の内容と比較しても、法規定された定義は各種報告におけるパワハラの概念を崩したものではなく、防止措置については指針の公表が待たれるものの、基本的には先行して法整備されているセクシュアルハラスメントやマタニティハラスメントの防止措置を参考として、社内の相談体制などの整備や規定化を進めることは可能です。
※参考資料
「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告」
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000021hkd.html
「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会報告書」
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000201255.html
社内の相談体制などの整備や規定化のための社内リーフレットの作成・就業規則の改定は必要です。しかしながら、企業と従業員がパワハラとは何かを考え、パワハラの被害者・加害者への適正な対応方法を習得し、パワハラが起こってしまった場合には、発生後の防止策を再度検討し、実行していくことがより重要なことだと思います。
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